【保存版】相続手続きの3つの期限(3か月・4か月・10か月)とやるべき手続き一覧
2026/02/13
こんにちは、東京都中央区日本橋にて在留資格と遺言・相続手続きを専門で扱っている行政書士 加治屋事務所です。
大切な方を亡くされた後、悲しみの中でも相続手続きは待ってくれません。相続手続きには「3か月」「4か月」「10か月」という重要な期限があり、これを過ぎると大きなペナルティが発生したり、本来受けられる控除や特例が使えなくなってしまうことがあります。
本記事では、相続手続きにおける3つの重要な期限と、それぞれの期限までにやるべきこと、期限を過ぎてしまった場合の対処法を、行政書士の視点から分かりやすく解説します。
相続手続き全体の流れとタイムライン
相続が発生してから10か月までの主な流れは以下の通りです。
【相続発生直後~1週間】
・死亡届の提出(7日以内)
・遺言書の有無確認
【~3か月】
・重要期限①:相続放棄・限定承認の判断
・相続人の確定(戸籍収集)
・財産調査(プラスとマイナスの財産)
【~4か月】
・重要期限②:準確定申告(被相続人の所得税申告)
【~6か月】
・遺産分割協議
・遺産分割協議書の作成
【~10か月】
・重要期限③:相続税申告・納付
・相続税の計算と申告書作成
【~3年】
・不動産の相続登記(義務化)
これらの手続きはすべて法律で定められた厳格な期限です。特に「3か月」「4か月」「10か月」の3つの期限は短期間のため注意が必要で、また「3年」の相続登記についても2024年4月から義務化され、正当な理由なく期限を守れないと過料などの重大なペナルティが発生します。
【期限①】相続開始から3か月以内:相続放棄・限定承認の判断
3か月の期限とは
相続放棄や限定承認の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と定められています。
「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは:
・被相続人が死亡したことを知り、かつ
・自分が相続人になったことを知った時
多くの場合は被相続人の死亡日となりますが、疎遠で後から知った場合などは、その知った日が起算日となります。
相続放棄とは
相続放棄とは、被相続人の権利義務を一切引き継がない選択です。
相続放棄が有効なケース:
・被相続人に多額の借金がある
・プラスの財産よりマイナスの財産が多い
・相続トラブルに巻き込まれたくない
重要な注意点:
3か月の熟慮期間を何もしないまま経過すると、その相続人は単純承認したものとみなされます。つまり、プラスもマイナスもすべて相続することになります。
限定承認とは
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継する方法です。
限定承認の特徴:
プラス財産を超える借金は引き継がない
相続人全員が共同で申述する必要がある
実務上は相続放棄より複雑で利用件数が少ない
手続き方法
申述先:被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
必要書類:
・相続放棄申述書または限定承認申述書
・被相続人の戸籍謄本
・申述人の戸籍謄本
・財産目録(限定承認の場合)
費用:収入印紙800円+郵便切手
3か月以内にすべきこと
・財産調査:プラスの財産(不動産、預貯金、株式など)とマイナスの財産(借金、未払金など)を調査
・相続人全員での話し合い:放棄するかどうかの判断
・判断がつかない場合:家庭裁判所に期間伸長の申立てを行う(3か月以内に申立て)
よくある落とし穴
法定単純承認に注意: 以下の行為をすると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなります。
・相続財産の処分(預金の解約、不動産の売却など)
・相続財産の隠匿
・遺産分割協議への参加
例外的に認められる場合:
・葬儀費用の支払い(社会通念上相当な範囲)
・相続財産の保存行為
3か月を過ぎても相続放棄が認められる例外
最高裁昭和59年4月27日判決では、被相続人に相続財産が全くないと信じたために3か月以内に相続放棄をしなかったケースで、そのように信じたことについて正当な理由がある場合、借金の存在を知った時から3か月が起算日となることがあります。
例:
・被相続人と長年交流がなく、相続財産がないと信じていた
・3か月経過後に債権者からの督促状で初めて借金を知った
このような場合でも、必ず専門家に相談し、適切な手続きを踏む必要があります。
【期限②】相続開始から4か月以内:準確定申告
準確定申告とは
準確定申告の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」です。
準確定申告とは、被相続人の死亡年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに行う所得税の確定申告です。
準確定申告が必要な人
以下のいずれかに該当する場合、準確定申告が必要です。
・事業所得や不動産所得があった
・給与所得が2,000万円を超えていた
・2か所以上から給与を受けていた
・年金収入が400万円を超えていた
・不動産を売却していた(譲渡所得)
・生前に確定申告をしていた
準確定申告が不要な人
・給与所得のみで年末調整済み(2,000万円以下)
・年金収入のみで400万円以下
・相続放棄をした人
還付を受けられる可能性
準確定申告の義務がない場合でも、以下のケースでは申告することで税金が還付される可能性があります。
・医療費控除が適用できる
・給与から源泉徴収されているが年末調整未了
・年金から源泉徴収されている
還付申告の期限:5年以内であれば可能
手続き方法
提出先:被相続人の住所地を管轄する税務署
必要書類:
・準確定申告書
・確定申告書付表(相続人が複数の場合)
・源泉徴収票
・医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
・生命保険料・地震保険料の控除証明書
期限が土日祝日の場合:翌平日が期限
前年分の申告も必要な場合
被相続人が1月1日から3月15日までの間に確定申告書を提出しないまま死亡した場合、前年分と本年分の両方の準確定申告が必要で、期限はともに相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内となります。
例:
2月10日に死亡した場合
・前年(1月1日~12月31日)分の申告
・本年(1月1日~2月10日)分の申告
・両方とも6月10日までに提出
期限を過ぎた場合のペナルティ
・延滞税:納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて発生(年2.4~8.7%)
・無申告加算税:本税の5~20%
ただし、還付申告は5年以内であれば受け付けてもらえます。
【期限③】相続開始から10か月以内:相続税申告・納付
10か月の期限とは
相続税の申告期限・納付期限は、原則として「相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。
例:
1月10日に死亡した場合→同年11月10日が期限
期限が土日祝日の場合:翌平日が期限
相続税申告が必要な人
遺産の総額が基礎控除額を超える場合に、相続税の申告が必要です。
基礎控除額の計算式:
3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
具体例:
・法定相続人が配偶者と子2人(計3人)の場合
・3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
・遺産総額が4,800万円を超えると申告が必要
注意点:
・相続放棄をした人がいても、放棄前の人数でカウント
・生命保険金や死亡退職金には非課税枠がある
・生前贈与(相続開始前7年以内)も加算される
10か月以内に必ず申告すべき理由
期限内に申告しないと、以下の重大なデメリットがあります。
1. 特例が使えなくなる
小規模宅地等の特例: 自宅や事業用地の評価額を最大80%減額できる特例。期限内の申告と遺産分割協議の完了が条件。
配偶者の税額軽減: 配偶者が相続した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからない。期限内の申告が条件。
これらの特例が使えないと、相続税が数百万円~数千万円単位で増える可能性があります。
2. ペナルティが発生
無申告加算税:
・本税の50万円まで:15%
・本税の50万円超:20%
・税務調査前の自主申告:5%
延滞税:
・納付期限の翌日から2か月まで:年2.4%(令和6年)
・2か月経過後:年8.7%(令和6年)
重加算税:
・悪質な隠蔽・仮装があった場合:35~40%
相続税申告までのステップ
Step1:財産評価(1~6か月)
- 不動産の評価(路線価、固定資産税評価額)
- 預貯金の残高確認
- 株式・投資信託の評価
- 生命保険金・死亡退職金
- 借金・未払金の確認
Step2:遺産分割協議の完了(~9か月)
- 相続人全員で財産の分け方を決定
- 遺産分割協議書の作成
- 全員の署名・押印
- Step3:相続税の計算(9~10か月)
- 課税価格の計算
- 相続税総額の計算
- 各相続人の納税額の計算
Step4:申告書の作成・提出(10か月)
- 相続税申告書の作成
- 必要書類の収集・添付
- 税務署への提出
Step5:納税(10か月)
- 現金一括納付が原則
- 延納(分割払い)や物納も可能(要申請)
遺産分割協議が間に合わない場合
遺産分割協議がまとまらないからという理由で、相続税の申告期限は延長できません。
この場合は未分割申告を行います。
未分割申告とは:
・法定相続分で相続したと仮定して申告
・特例は使えないため、税額が高くなる
・「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出
・3年以内に分割が完了すれば、更正の請求で特例適用可能
注意点:
・一旦は高額の相続税を納める必要がある
・3年経過後も分割できない場合は、さらに承認申請が必要
納税方法
現金一括納付(原則)
- 金融機関の窓口
- クレジットカード納付
- ダイレクト納付(e-Tax)
- コンビニ納付(30万円以下)
延納(分割払い)
- 申告期限までに申請
- 担保が必要な場合あり
- 利子税が発生
物納(財産で納付)
- 現金納付が困難な場合
- 申告期限までに申請
- 国債、不動産、株式などが対象
その他の重要な期限
【1年以内】遺留分侵害額請求
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の相続分です。
期限:相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年
対象者:
・配偶者
・子(直系卑属)
・父母(直系尊属) ※兄弟姉妹には遺留分なし
手続き:配達証明付き内容証明郵便で請求
【3年以内】不動産の相続登記(義務化)
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
期限:不動産を取得したことを知った日から3年以内
罰則:正当な理由なく怠ると10万円以下の過料
注意点:
・2024年4月以前の相続も対象
・2027年3月31日までの猶予期間あり
【2年以内】高額療養費・葬祭費の請求
健康保険からの給付金請求も忘れずに。
高額療養費:医療費の自己負担が一定額を超えた場合の払い戻し
葬祭費:国民健康保険加入者の葬儀を行った場合の給付金(5~7万円程度)
期限管理のための実践的チェックリスト
【相続発生直後~1週間】
死亡届の提出(7日以内)
遺言書の有無確認(自筆証書遺言は検認が必要)
概算での財産把握開始
葬儀の実施
【~1か月】
戸籍謄本の収集開始
相続人の確定
金融機関への連絡
公共料金の名義変更
【~3か月】
財産調査の完了(プラスとマイナス)
相続放棄・限定承認の決定と手続き(必要な場合)
準確定申告の準備開始
【~4か月】
準確定申告の提出(必要な場合)
【~6か月】
遺産分割協議の実施
遺産分割協議書の作成
【~9か月】
財産評価の完了
相続税の概算
相続税申告書の作成開始
【~10か月】
相続税申告・納付
不動産の名義変更準備
【~3年】
不動産の相続登記完了
期限を守るための5つのポイント
ポイント1:相続発生後すぐに全体スケジュールを立てる
カレンダーに3つの重要期限を記入し、逆算して行動計画を立てましょう。
スケジュール例(1月10日死亡の場合):
・4月10日:相続放棄の期限
・5月10日:準確定申告の期限
・11月10日:相続税申告の期限
ポイント2:早めの専門家相談
税理士:相続税申告、準確定申告
司法書士:相続放棄、相続登記
弁護士:遺産分割協議、遺留分請求
行政書士:戸籍収集、遺産分割協議書作成
初回相談は無料の事務所も多いので、早めに相談しましょう。
ポイント3:相続人間のコミュニケーション
・早めに顔合わせ・話し合いの場を設ける
・連絡がつかない相続人の所在確認
・感情的対立を避ける工夫(第三者の立会いなど)
ポイント4:書類収集は早めに着手
時間がかかる書類:
・戸籍謄本(特に転籍が多い場合)
・金融機関の残高証明書
・不動産の評価証明書
郵送でのやり取りには時間がかかるため、早めに動きましょう。
ポイント5:判断に迷ったら期間伸長申立てを
相続放棄の判断が3か月では難しい場合、家庭裁判所への申立てで延長可能です。
申立て期限:3か月以内
期限を過ぎてしまった場合の対処法
相続放棄の期限を過ぎた場合
原則として単純承認とみなされますが、例外的に認められる場合があります。
対処法:
・速やかに弁護士・司法書士に相談
・正当な理由(借金の存在を知らなかった等)を説明
・期限後の相続放棄申述を試みる
準確定申告の期限を過ぎた場合
対処法:
・速やかに期限後申告を行う
・延滞税・無申告加算税の発生を覚悟
・税理士に相談して適切に対応
相続税申告の期限を過ぎた場合
対処法:
・即座に申告準備を開始
・税理士に依頼して速やかに申告
・延滞税・無申告加算税が発生
・特例が使えない可能性
・自主申告すれば無申告加算税は軽減(5%)
相続登記の期限を過ぎた場合
対処法:
・速やかに登記申請を行う
・過料の通知が来る前に対応
・司法書士に依頼すれば迅速に完了
よくあるQ&A
Q1:「3か月」の起算日は死亡日?それとも知った日?
A:相続放棄の期限の起算日は「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。多くの場合は被相続人の死亡日ですが、疎遠で後から知った場合は、知った日が起算日となります。
Q2:複数の相続人がいる場合、誰が準確定申告をする?
A:相続人全員に申告義務がありますが、代表者を決めてまとめて提出することができます。相続人それぞれが別々に申告することもできますが、手間がかかるため、できるだけ代表者がまとめて提出するほうがよいでしょう。
Q3:遺産分割協議に期限はないのか?
A:法律上の明確な期限はありませんが、相続税申告(10か月)までに終わらせないと特例が使えません。また、2023年4月施行の改正民法により、相続開始から10年経過すると特別受益・寄与分の主張ができなくなります。
Q4:10か月の期限が土日祝日の場合は?
A:翌営業日が期限となります。ただし、余裕を持って手続きすることをお勧めします。
Q5:相続税がかかるかどうか分からない場合は?
A:基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を目安に概算してみましょう。判断に迷う場合は税理士に無料相談することをお勧めします。
まとめ
相続手続きの3つの期限を再確認
3か月:相続放棄・限定承認の判断期限 4か月:準確定申告の期限 10か月:相続税申告・納付の期限
期限を守るための心構え
・「まだ時間がある」ではなく「あと○か月しかない」という意識
・早めの情報収集と専門家相談
・相続人間の円滑なコミュニケーション
専門家の活用を
税理士:相続税申告、準確定申告 司法書士:相続放棄、相続登記 弁護士:遺産分割協議、遺留分請求 行政書士:戸籍収集、遺産分割協議書作成
加治屋事務所からのメッセージ
相続手続きは、多くの方にとって人生で数回しか経験しない特別な手続きです。悲しみの中で多くの判断を迫られ、複雑な手続きを期限内に完了させることは、大きな負担となります。
東京都中央区日本橋にある加治屋事務所では、相続手続きの専門家として、戸籍収集から遺産分割協議書の作成まで、皆様の負担を軽減するお手伝いをしています。
特に、相続放棄の判断が必要な場合や、準確定申告の要否が分からない場合など、期限が迫っている状況でもお気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っております。
一人で抱え込まず、専門家にご相談を。適切なアドバイスとサポートで、期限を守りながらスムーズな相続手続きを実現します。
この記事のポイント
- 相続には「3か月・4か月・10か月」の重要期限がある
- 期限を過ぎるとペナルティや特例が使えないデメリット
- 早めの準備と専門家への相談が成功の鍵
- 遺産分割協議は10か月以内に完了させるのが理想
- 期限を過ぎても対処法はあるので、諦めずに相談を
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行政書士 加治屋事務所
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