【相続対策の第一歩】 相続税がかかる人・かからない人のボーダーラインと節税の基礎知識
2025/12/12
こんにちは、東京都中央区日本橋にて在留資格と遺言・相続手続きを専門で扱っている行政書士 加治屋事務所です。
相続税は、「富裕層だけにかかる税金」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、日本の相続税の仕組みは、平成27年の税制改正によって基礎控除額が大幅に引き下げられたため、一般家庭でも自宅の評価額が高い地域にお住まいの方や、資産をしっかり築いてこられた方にとって、決して無視できない問題となっています。
「うちには相続税がかかるのだろうか?」「いつから対策を始めればいいのか?」
本記事では、相続対策の第一歩として、相続税がかかる人・かからない人のボーダーラインを明確にし、知っておくべき節税の基礎知識についてわかりやすく解説します。
1. 相続税がかかる人・かからない人のボーダーライン
相続税がかかるかどうかは、亡くなった方(被相続人)の遺産総額が「基礎控除額」を超えているかどうかで決まります。
A. 相続税の「基礎控除額」とは
基礎控除額とは、すべての遺産から無条件で差し引くことができる非課税枠のことです。遺産の総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税は一切かかりませんし、相続税の申告も不要です。
基礎控除額の計算式は以下の通りです。
基礎控除額= 3,000万円+ (法定相続人の数× 600万円)
B. ボーダーラインの具体的な事例
法定相続人の数が増えるほど、基礎控除額(非課税枠)は大きくなります。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
| 1人(例:配偶者のみ) | 3,000万+(1人×600万)=3,600万 |
| 2人(例:配偶者と子1人) |
3,000万+(2人×600万)=4,200万 |
| 3人(例:配偶者と子2人) | 3,000万+(3人×600万)=4,800万 |
| 4人(例:配偶者と子3人) | 3,000万+(4人×600万)=5,400万 |
【結論】
ご自身の遺産総額が、法定相続人の数に応じたこの金額を超えている場合は、相続税がかかる可能性が非常に高いため、対策を始めるべきと言えます。
2. 遺産総額を計算する上での注意点
「遺産」と聞くと、預金や不動産を思い浮かべますが、相続税の計算対象となる財産はそれだけではありません。
A. 死亡保険金・死亡退職金は「みなし相続財産」
生命保険金や死亡退職金は、法律上の相続財産ではありませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象に含まれます。
ただし、これらの財産には個別の非課税枠が設けられています。
非課税限度額 = 法定相続人の数× 500万円
この非課税枠を最大限活用することも、重要な節税対策の一つです。
B. 3年以内の贈与は課税対象
相続開始前3年以内に、亡くなった方から相続人に対して行われた贈与は、相続財産に持ち戻されて相続税の課税対象となります(生前贈与加算)。
相続税対策として生前贈与を行う場合は、この3年ルールを考慮して、できるだけ早く始めることが重要です。
3. 相続税をゼロまたは大幅に減らす「節税の基礎知識」
遺産総額が基礎控除額を超えていても、適切な特例や控除を利用すれば、相続税がゼロになるケースは多くあります。
A. 【最大の特例】配偶者の税額軽減
亡くなった方の配偶者が遺産を相続する場合、最低でも1億6,000万円まで、または法定相続分までは、相続税がかかりません。
この特例のおかげで、配偶者がいる場合の相続では、実際に相続税を納める必要がないケースが多くなっています。ただし、この特例を利用するためには、相続税の申告手続きが必要です。
B. 自宅の評価額を大幅に減らす「小規模宅地等の特例」
被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地(自宅)を、配偶者や同居の親族などが相続する場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価額を最大80%減額することができます。
例えば、評価額5,000万円の土地が1,000万円として評価されるため、この特例が適用できるかどうかが、相続税の有無を左右する最大のポイントになります。
C. 生前贈与の活用
相続税対策の基本は、財産を生前に減らしておくことです。
暦年贈与: 年間110万円までの贈与であれば、贈与税がかかりません。前述の3年ルールに注意しつつ、非課税枠を有効活用します。
教育資金の一括贈与特例: 孫などへの教育資金贈与について、最大1,500万円までを非課税とする特例です(期間や要件あり)。
4. まとめ:対策の第一歩は「財産の棚卸し」
相続税がかかるかどうか、まずはご自身の財産をすべて洗い出し、基礎控除額と比較することから始まります。
相続税がかかる見込みがある場合でも、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった強力な特例・控除を活用すれば、納税額を大きく抑えることが可能です。
ただし、これらの特例を適用するには、遺言書や遺産分割協議書によって、誰がどの財産を相続するかを確定させておく必要があり、適切な手続きを踏まなければ適用を受けられません。
相続対策は、早ければ早いほど選択肢が増え、節税効果も高まります。まずはご自身の財産状況を確認することから始めましょう。
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