「日本橋の行政書士が解説|生前贈与された土地も相続財産に?〜特別受益の持ち戻しと遺産分割協議書作成のポイント〜」
2025/09/05
こんにちは。東京都中央区日本橋の行政書士加治屋事務所です。
今回は、先日ご依頼いただいた遺産分割のケースについてお話しします。
被相続人はお父様で、相続人は配偶者(お母様)、長男、長女の3名様でした。このうち、長女の方がお父様から生前に一筆の土地を贈与されており、その土地を遺産分割協議にどう含めるかが論点となりました。
「もう贈与された財産だから、遺産分割には関係ないのでは?」 そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、民法では「特別受益の持ち戻し」という規定があり、この考え方を理解しておかないと、後々、相続人間で大きなトラブルに発展する可能性があります。
本記事では、この特別受益の持ち戻しを、実際の業務の流れに沿って解説し、遺産分割協議書作成における注意点をお伝えします。
1. 特別受益とは?
特別受益とは、特定の相続人が被相続人(亡くなった方)から、生前に多額の贈与や遺贈(遺言による財産の譲り渡し)を受けていた場合の、その利益のことを指します。
今回のケースでは、長女の方がお父様から生前に一筆の土地を贈与されていました。ご依頼者様のお話を詳しく伺い、その土地が特別受益にあたることを確認しました。
2. 特別受益の「持ち戻し」とはどういうこと?
遺産分割は、相続人全員で公平に行うのが原則です。 しかし、特定の相続人が生前贈与を受けていると、他の相続人と不公平が生じてしまいます。
そこで、この不公平を是正するために、生前贈与された財産を「相続財産に一度戻したもの」とみなして、遺産の総額を計算し直します。この手続きを「持ち戻し」と言います。
【具体的な計算方法】
今回のケースの遺産は、預貯金、投資信託、家屋、三筆の土地、そして長女の方が生前贈与された土地です。 これらの財産を合算したものが「みなし相続財産」となります。
・遺産:預貯金、投資信託、家屋、三筆の土地
・特別受益:長女が贈与された一筆の土地(評価額)
・みなし相続財産=(遺産総額)+(特別受益の評価額)
この「みなし相続財産」を、配偶者、長男、長女の3名で、法定相続分(配偶者:1/2、長男・長女:それぞれ1/4)に応じて分割します。そして、長女の相続分から、すでに受け取っている特別受益の評価額を差し引くことで、実際に各相続人が受け取る財産額が確定します。この計算過程を相続人全員で共有し、納得を得ることが非常に重要です。
3. 遺産分割協議書への記載方法と実務上の注意点
特別受益の持ち戻しを行う場合、遺産分割協議書には以下の点を明確に記載します。
・特別受益の特定:長女が、いつ、どのような土地を贈与されたのかを特定します。
・評価方法と価額の明記:持ち戻す土地の評価額を、相続開始時の時価で算定します。
固定資産税評価額などを参考に、その根 拠となる資料を明記します。
・持ち戻し計算の明示:上記の計算例のように、持ち戻しによって各相続人が実際に取得する財産を
具体的に記載します。
当事務所では、依頼者の方に計算過程を丁寧に説明し、全員が納得した上で協議書を作成します。協議書は、法的な効力を持つ重要な書類です。後々のトラブルを防ぐためにも、専門的な知識を持った行政書士にご依頼いただくことをお勧めします。
最後に
遺産分割は、ご家族の数だけ様々な事情や形があります。特に、生前贈与があった場合は、それが特別受益にあたるのか、持ち戻しをするのかしないのか、判断に迷うことも少なくありません。
私たち行政書士は、相続人の方々の思いに寄り添い、法的な観点から適切なアドバイスを行うことで、円満な相続手続きをサポートします。日本橋という土地柄、複雑な財産状況の相続案件も多く取り扱っております。
事案により、提携している司法書士、税理士、土地家屋調査士、弁護士とで対応します。
「当事務所では無料相談を行っております」遺産分割でお困りの際は、ぜひ一度、加治屋事務所にご相談ください。
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